包む-日本の伝統パッケージ展-

目黒区美術館で開催中の"包む-日本の伝統パッケージ展-"に行ってきた。


まず、イントロダクションとして、

つい先日、父が水戸へ仕事へ行った際に、

お土産として納豆を買ってきてくれた。

ふっくらとしたわらにくるまれた納豆。

母はうれしそうに、"つと納豆たべるんだー!"と

白いごはんに塩だけ混ぜた納豆を食べていた。

(私はあいにく、そのご相伴にあずかることはできなかったのだけど)


ん?つとって何だ?


わらづと

藁苞


三省堂 大辞林

わらづと 0 【▼藁▼苞】

(1)藁を編み、物を包むようにしたもの。

「―入りの納豆」

(2) (1) で包んだ土産物・贈り物。また、賄賂(わいろ)。

「そのお持ちやつた―は何ぢや/狂言・雁雁金」


チケットの写真がとても印象的で、

この作品の実物をみたくて足を運んだと言っても過言ではない。

http://www.mmat.jp/

卵つと。

白くつやつやした卵が一列に整然と並べられている様子、

また、卵に負けずにつやっとした藁の質感も、本当に美しい。


会場は木/竹/笹/土/紙/藁とマテリアルごとに展示がなされ、

特に、木/竹/笹のあたりは特に食品を包んでいる展示が多く、

この包みの中に、どんな、おいしそうなものが隠れているのだろう。

というワクワク感に包まれた。

展示のすぐ脇には名刺大の大きさの名札がおいてあり、

そこに並ぶタイトルも目を楽しませ、

そして、想像を膨らます手助けをしてくれた。


冒頭の卵つともそうだけれど、

藁の表現力の幅広さは恐れ入った。

穂の流れる方向に沿って編み上げてゆくと

驚くほどつややかで、美しい模様を織りなす。

おひつをしまう"いづめこ(山形県)"という丸く編み上げられたかご。

繊細な編み目と全体的にでっぷりと丸みを帯びた形から、

あかちゃんのゆりかご代わりに使われていたということ。

きっと寝心地がよかったことだろう。

(余談だが、母の実家が東北地方である私は、

 実は、いづめこに入ったことがあるらしい笑)

一方、穂を逆立たせ、荒々しくよられた縄は力強さを感じさせ、

大きな酒樽にさらに迫力を与えていたりと。

そうやって藁は、どちらかと言うと、

生活雑貨として親しまれ、なくてはならないものとして

人々の身近に存在していたのだろうな、と思った。


会期は5/22迄。

食いしん坊で、夢見がちな妄想屋さんはきっと楽しめるはず。